<p data-uid="9rOV3uf7" data-time="1786055968429"><strong>「経営者って、離婚率が高いって聞いたんですけど、本当ですか?」</strong></p><p data-uid="hGNyCs4r" data-time="1786055948040">取材の現場でも、周囲の経営者仲間と話している中でも、この問いはよく出てくる。起業して間もない人が不安そうに聞くこともあれば、すでに関係が壊れかかっていて「やっぱりそうなのか」と確認したくて聞く人もいる。</p><p data-uid="xgT5F9zv" data-time="1786055948040">カラキャンはこれまで300名以上の経営者・事業家を取材してきた。事業の話、失敗の話、お金の話——その中で、家族やパートナーの話は「最後に少し話してくれる」ことが多いテーマだ。SNSには絶対に出てこないけれど、当人にとっては誰よりも大切にしたい部分。</p><p data-uid="6iCSJL5V" data-time="1786055973778">今回は、その「家族の話」を正面から取り上げる。</p><h2 data-uid="Cl37AOyw" data-time="1786055948040" id="index_Cl37AOyw">Q1. 経営者は本当に離婚しやすいのか?</h2><p data-uid="SBncWnvY" data-time="1786055948040">結論から言うと、<strong>「経営者の離婚率が高い」という日本の公的統計は存在しない</strong>。</p><p data-uid="KrN18Co_" data-time="1786055948040">日本の離婚率(人口1,000人あたり)は2022年時点で約1.47(<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html" data-has-link="true">厚生労働省 人口動態統計</a>)。直近では緩やかに下がっているが、依然として年間約18〜19万件の離婚が発生している。</p><p data-uid="nyX5CgEK" data-time="1786055948040">「経営者」という属性を切り取った調査は少ないが、日本政策金融公庫の「新規開業実態調査」では、開業後に「仕事と家庭生活のバランスがとれていない」と感じる経営者の割合は、雇用者よりも高い傾向にある(<a href="https://www.jfc.go.jp/n/findings/sme_findings2.html" data-has-link="true">日本政策金融公庫 新規開業実態調査</a>)。</p><p data-uid="jykwBYwF" data-time="1786055948040">カラキャンの取材経験から言うと、離婚しやすいというよりも、「関係が壊れるか、深まるか、どちらかに振り切れやすい」という印象だ。経営という行為が、パートナーとの関係を"試す場"になりやすい。</p><figure data-uid="6q3kywFE" data-time="1786056011108" data-thread="" style=""><img src="https://storage.googleapis.com/studio-design-asset-files/projects/91aPl639al/s-107x150_b8034393-9056-45b0-9baa-c6b77760fd7d.svg" alt="" width="622"><figcaption></figcaption></figure><h2 data-uid="sIG6iVG8" data-time="1786055948040" id="index_sIG6iVG8">Q2. 「家族に迷惑をかけた」と話してくれる経営者は、どんな状況だったか?</h2><p data-uid="kbM02yaO" data-time="1786055948040">取材の中でこの言葉を口にした経営者が何人かいた。その多くが、<strong>資金難と重なっていた</strong>。</p><p data-uid="4PUUinud" data-time="1786055948040">福岡県で人材支援事業を経営する力武さんは、こう話してくれた。</p><blockquote data-uid="7ljdLSSi" data-time="1786056024275"><p data-uid="sr677AX_" data-time="1786055948041">「起業して間もない頃、信じて資金を投じた案件に裏切られて、現金が全くなかった時期がありました。同じ時期に、詐欺のような話にも引っかかってしまって。家族にも迷惑をかけてしまったことは、本当に申し訳なかったと思っています。」</p></blockquote><p data-uid="pEJWSJUQ" data-time="1786055948041">お金の問題は、家族全体の問題だ。月の生活費をどう捻出するか、売掛が回収できないとき誰がそのプレッシャーを共有するか——経営者だけの問題ではなく、配偶者や子どもにも波及する。</p><p data-uid="vT1r91JQ" data-time="1786055948041">一方で、力武さんは同じ取材の中でこうも話していた。</p><blockquote data-uid="shh8N_cT" data-time="1786056029164"><p data-uid="luIDderD" data-time="1786055948041">「最終的には全国各地に拠点を出して、家族や大切な人たちと複数拠点を移動しながら生活したいんです。」</p></blockquote><p data-uid="VhUTxgyh" data-time="1786055948041">「迷惑をかけた」という経験が、未来の家族像を描くエネルギーになっている。つらかった時期が、「なぜ稼がなければならないか」の深さを作っていた。</p><figure data-uid="pHf7WRCd" data-time="1786056299709" data-thread="" style=""><a href="https://coloroncanvas.jp/notes/anatanojinjika_naoya_rikitake" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://storage.googleapis.com/studio-cms-assets/projects/91aPl639al/s-1920x1080_v-frms_webp_c8917d0f-0dae-48e3-bf31-70e1249c8601.png" alt="" width="" height=""></a><figcaption></figcaption></figure><h2 data-uid="S2kB9uwc" data-time="1786055948041" id="index_S2kB9uwc">Q3. パートナーに起業を背中から押してもらった、という話</h2><p data-uid="fzfktETS" data-time="1786055948041">家族が「足かせ」になるどころか、「背中を押してくれた」という経営者の話も少なくない。</p><p data-uid="vO23Cv_o" data-time="1786056242391">和歌山・鳥取などの地方創生支援事業を手がける内田さん(ARSOM)は、大きな決断をする前にこんな言葉をもらったと話す。</p><blockquote data-uid="PGHvGnN6" data-time="1786056304542"><p data-uid="nbeeBDod" data-time="1786055948041">「踏み切れた決め手は、妻が『やりたいんだったら、やれば』と言ってくれたことでした。シンプルな一言なんですけど、それだけで十分でした。」</p></blockquote><figure data-uid="xXq_Tnuy" data-time="1786056325676" data-thread="" style=""><a href="https://coloroncanvas.jp/notes/ARSOM-naoki-uchida" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://storage.googleapis.com/studio-design-asset-files/projects/91aPl639al/s-1920x1080_v-frms_webp_dc4ae1c2-7740-4806-968a-6fd3311bb017.png" alt="" width="" height=""></a><figcaption></figcaption></figure><p data-uid="EmaS_3m5" data-time="1786055948041">大阪でスキンケア商品を展開する伊藤さん(アイ・ドット・クオリティ)は、仕事と家族の関係についてこう語る。</p><blockquote data-uid="iNUZYt_I" data-time="1786056248050"><p data-uid="__5sbP2l" data-time="1786055948041">「公私を100%分けることは不可能だと思っています。家族と過ごす時間がないと、仕事も楽しくできない。子どもが幼稚園の先生に『パパの仕事、すごいよ』と話してくれたと聞いて、今後も誇れる仕事をしているお父さんでいたいと改めて思いました。」</p></blockquote><p data-uid="nUJvRJfW" data-time="1786055948041">「誇れる仕事をしているお父さんでいたい」——この言葉には、事業の動機と家族の動機が一致している経営者の姿がある。</p><figure data-uid="LZdGo9WR" data-time="1786056361994" data-thread="" style=""><a href="https://coloroncanvas.jp/notes/idq_takayoshi_ito" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://storage.googleapis.com/studio-cms-assets/projects/91aPl639al/s-1920x1080_v-frms_webp_e31b9a5f-33a8-4ab0-a225-f3ab8849fdff.png" alt="" width="" height=""></a><figcaption></figcaption></figure><h2 data-uid="29GNrsR7" data-time="1786055948041" id="index_29GNrsR7">Q4. 子どもや家族の出来事が、事業の原点になっているケース</h2><p data-uid="UC7Y7GBb" data-time="1786055948041">経営者のビジョンを深掘りしていくと、しばしばその根っこに「家族の出来事」がある。</p><p data-uid="bCMEp14X" data-time="1786055948041">名古屋で発酵食品・麹の教室を営む鬼頭あずささん(MUGENDAI)は、事業を始めたきっかけをこう話した。</p><blockquote data-uid="C8vB5YKd" data-time="1786056370809"><p data-uid="VRWVQXaZ" data-time="1786055948041">「結婚してすぐに主人が生活習慣病になったんです。食生活が100%だなと思いました。私たちの子どもが年長と年少でまだ小さい。この先、病気が当たり前の世界で子どもたちを育てたくない——そのシンプルな思いが出発点です。」</p></blockquote><p data-uid="9xiph_J7" data-time="1786055948041">北海道・十勝で有機農業を営む草森さんも、一つの言葉をきっかけに商品開発の向きが変わった。</p><blockquote data-uid="vXvDOjSb" data-time="1786056375325"><p data-uid="MhzMMkAu" data-time="1786055948041">「ディズニーランドに行ったとき、子どもが『パパのかぼちゃ、ディズニーランドで食べれないの?』って言ったんです。あの一言は、ずっと忘れられないですね。それから、どこにでも届けられる加工品を本気で作るようになりました。」</p></blockquote><p data-uid="3JCo9OLn" data-time="1786055948041">また、整体グッズのメーカーを経営する小林さん(ボディスプラウト)は、こんな経緯で新商品が生まれたと話す。</p><blockquote data-uid="Lf9ODkwg" data-time="1786056378734"><p data-uid="O1yJ3OXM" data-time="1786055948041">「妻が4人目を出産した後、それまで健康だったのにぎっくり腰を繰り返すようになって。こういう人を助けたいと思って『整体ショーツ』を開発しました。妻の体験が商品のスタートです。」</p></blockquote><p data-uid="xnek6Jgl" data-time="1786055948041">「家族が課題を教えてくれた」——これだけの事例が出てくるということは、経営者にとってのいちばん身近なモニターは家族なのかもしれない。</p><figure data-uid="VlHysSPT" data-time="1786056407524" data-thread="" style=""><a href="https://coloroncanvas.jp/notes/mugendai_azusa_kito" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://storage.googleapis.com/studio-cms-assets/projects/91aPl639al/s-1920x1080_v-frms_webp_b4fd9c02-5d14-4595-a9ea-ab610b3632f1.png" alt="" width="" height=""></a><figcaption></figcaption></figure><h2 data-uid="7qSVMlCj" data-time="1786055948041" id="index_7qSVMlCj">Q5. 女性経営者にとっての「結婚」は、また別の問題がある</h2><p data-uid="AjEbUPPN" data-time="1786055948041">女性の経営者・事業承継者にとって、結婚はさらに複雑な問いを連れてくる。</p><p data-uid="r1j_eoWF" data-time="1786055948041">大阪の食品包装メーカー・ドゥパック阪和でアトツギとして奮闘する堂野起佐さんは、事業承継と結婚の関係について率直に話してくれた。</p><blockquote data-uid="llYedRhp" data-time="1786055948041"><p data-uid="MrJpZzWz" data-time="1786055948041">「父から『婿を見つけてこい』って言われてたんですよ。でも調べてみたら、婿養子で会社を継ぐケースって全体の10%以下とも言われていて。じゃあ私は何パーセントの確率でそれを探せばいいんや!って(笑)。」</p></blockquote><p data-uid="q3ZXWPa4" data-time="1786055948041"></p><blockquote data-uid="GXuRwZwA" data-time="1786055948041"><p data-uid="LTUTGKjG" data-time="1786055948041">「結婚して夫の姓になったから、堂野家は継げない、という話になるじゃないですか。でも、ドゥパック阪和は堂野家の会社として私が継ぐ——父にはそう宣言しました。夫婦別姓が実現したら、また考えたらいいよねって、最近は前向きに思っています。」</p></blockquote><p data-uid="acE7hGcC" data-time="1786055948041">昨年結婚を果たした堂野さんは、家庭生活と社業の両立も現実と向き合いながら進めている。</p><blockquote data-uid="Vt2mjNq7" data-time="1786056421469"><p data-uid="soDVo35P" data-time="1786055948041">「結婚してからは、なんとか21時までには帰るようにしています。社員さんの目もあるから早く帰りにくい部分はあるんですけど、気持ちを鬼にして帰ってます(笑)。」</p></blockquote><p data-uid="2x8XouEA" data-time="1786055948041">「強くてカッコいい経営者だけが正解じゃない」——堂野さんのその言葉は、女性アトツギが直面するリアルを代弁していた。</p><figure data-uid="Z4x5q1hM" data-time="1786056460894" data-thread="" style=""><a href="https://coloroncanvas.jp/notes/do-pack_kisa_dono" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://storage.googleapis.com/studio-design-asset-files/projects/91aPl639al/s-1920x1080_v-frms_webp_aa953c8d-6e17-4267-8144-95d807d32bcd.png" alt="" width="" height=""></a><figcaption></figcaption></figure><p data-uid="_S_B9qnR" data-time="1786055948041">また、採用人事支援の岡邑亜由美さん(JINJI8)は、結婚と起業の関係についてこんな視点で話してくれた。</p><blockquote data-uid="lDHZBiWJ" data-time="1786055948041"><p data-uid="bAtS_kLA" data-time="1786055948041">「結婚していたこともあって、何かあっても夫の稼ぎがあるので、私が失敗しても生活はできるという安心感がありました。だから思い切れた部分もあります。でも周りからは『普通のパートでいいんじゃない?』とか言われて……それが逆に、もっとやってやろうという気持ちにさせてくれましたね。」</p></blockquote><figure data-uid="AeEYEBZ2" data-time="1786056502107" data-thread="" style=""><a href="https://coloroncanvas.jp/notes/jinji8_ayumi_okamura" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://storage.googleapis.com/studio-cms-assets/projects/91aPl639al/s-1920x1080_v-frms_webp_093e9d1b-1b6e-41d0-8039-0723197bd6dd.png" alt="" width="" height=""></a><figcaption></figcaption></figure><h2 data-uid="gcX6tcY7" data-time="1786055948042" id="index_gcX6tcY7">Q6. 家族関係を壊さないために、経営者が実践していること</h2><p data-uid="HLla4qdM" data-time="1786055948042">取材を重ねる中で、家族との関係を大切にしながら経営を続けている人たちに共通するパターンが見えてきた。</p><p data-uid="GQO7TtP9" data-time="1786055948042"><strong>① 「小さな対話」を意識的に作る</strong></p><p data-uid="pOGEIDxb" data-time="1786055948042">事業の話をパートナーに全部共有するのは難しい。でも「今週どんなことがあったか」「来月どうなるか」を話す時間を週1回でも持つ——それだけで温度差が縮まると話す経営者が複数いた。</p><p data-uid="WLf9U1tX" data-time="1786055948042"></p><p data-uid="MLl1y0xH" data-time="1786055948042"><strong>② 家族の出来事を「仕事に持ち込む」</strong></p><p data-uid="qPyLNqAA" data-time="1786055948042">小林さんや草森さんのように、家族の体験や言葉を事業のヒントにしている経営者は、家族との時間が「インプットの時間」になっていた。「切り分けるか、混ぜるか」の問い自体が変わる。</p><p data-uid="YIpFQ7Jf" data-time="1786055948042"></p><p data-uid="EIFpZ_Rz" data-time="1786055948042"><strong>③ 「なぜやっているか」をパートナーに言語化して伝える</strong></p><p data-uid="S_pHK0V4" data-time="1786055948042">力武さんは、事業をやり続ける理由を「家族のため」という言葉で語っていた。表面の「大変さ」だけが見えているパートナーに、「なぜ」を丁寧に伝えることが関係の基盤になっている。</p><p data-uid="oPpOzJOE" data-time="1786056520353"></p><h2 data-uid="6l30CE62" data-time="1786055948042" id="index_6l30CE62">取材300名超を経て、思うこと</h2><p data-uid="D0plQaBP" data-time="1786055948042">経営者の離婚率が高いかどうかは、正直わからない。ただ、一つ確かに言えることがある。</p><p data-uid="GarJwDV7" data-time="1786055948042">経営という行為は、パートナーや子どもに「この人は誰のためにやっているのか」を問い続けさせる行為だということだ。忙しい、お金がない、リスクを取る——その全部が家族に直撃する。</p><p data-uid="RN0fn9yx" data-time="1786055948042">だからこそ、壊れる夫婦もいれば、危機を経てより深くなる夫婦もいる。差があるとすれば、「なぜやるか」を共有できているかどうかではないかと、300名の取材を通じて感じている。</p><p data-uid="bpkhNjV7" data-time="1786055948042">事業の話、失敗の話、夢の話——これらは全部、家族の話でもある。</p><hr data-uid="whWmJoTC" data-time="1786055948042"><p data-uid="vkqfSe5H" data-time="1786055948042"><strong>AI時代だからこそ、一次情報を残そう。</strong></p><p data-uid="nC_wSX5Q" data-time="1786055948042">カラキャンは、経営者や企業の魅力を可視化するインタビューメディアです。経営者の「家族の話」は、SNSにも決算書にも出てこない。でも、それこそが事業の一番深いところにある動機です。ぜひ一度ご相談ください。</p><p data-uid="1oVURWTD" data-time="1786055948042">▶ <a href="https://coloroncanvas.jp/contact" data-has-link="true">カラキャンへのお問い合わせはこちら</a></p><hr data-uid="DpVWNaIi" data-time="1786055948042"><p data-uid="VCYv7jwA" data-time="1786055948042"><em>関連記事:</em><a href="https://coloroncanvas.jp/interview/anatano-jinjika" data-has-link="true"><em>力武さん(株式会社あなたの人事課)</em></a><em> / </em><a href="https://coloroncanvas.jp/interview/jinji8-okamura" data-has-link="true"><em>岡邑亜由美さん(株式会社JINJI8)</em></a><em> / </em><a href="https://coloroncanvas.jp/interview/dopack-hanna" data-has-link="true"><em>堂野起佐さん(株式会社ドゥパック阪和)</em></a><em> / </em><a href="https://coloroncanvas.jp/interview/mugendai-kitou" data-has-link="true"><em>鬼頭あずささん(株式会社MUGENDAI)</em></a></p>